マークスの山

高村薫さん原作のマークスの山のドラマ版を見た

はるかむかし本では読んだが むかし過ぎて細部が思い出せない
画像になるとやっぱり新鮮だなぁ
場面によっては 年少者には配慮が必要かもしれない(死体が出てくるので刺激が強い)
ネタバレで書いてしまうが マークスと名乗る犯人こと水沢
彼の心にあったのは 一体なんだったのだろうか 
恋人・真知子との生活のために お金を強請ったのは確かだろうが
執着があまり感じられない
母を殺した犯人に復讐したいという思いももちろんあっただろう
しかし、それにもあまり執着していないような気がする
突き動かしていたものが 
統合主調症と語られる 病のひとことではおさまりきらないものがある
やっぱり本でじっくりと 自分のスピードで読まなきゃ
・・・それでも きっとわからないだろうな
彼の頭に巣くう黒い山
逃げたかったのか 吸い寄せられたのか
あまりにも語るものが少ない
その反対に 彼を追い詰める合田 彼は雄弁だ
理論とカンと経験と そして情熱と・・・・こう書くと欠点がない印象だが
その実 彼の前には立ちはだかるものが一杯だ
今の地位に固執するもうひとつの事件の犯人との 見えない確執
縄張り意識の強いライバルたち
離婚して 離れてわかる妻の心 
人間として 自分は彼にははるかに及ばないが それでも共感するものがある

 

マークス、登場人物すべてに覆いかぶさり影を落としていた魔の山が 
クライマックスに・・・多分時間の関係だろうが
もっとじっくりと描いてほしかった
合田たちは暗闇のなかを この危険な山に水沢を探して登るのだ 
ここまでの路は
焦りだったのか 祈りだったのか
気を許せば すぐさま体温を奪い去ってゆく冷気のなか
ようやっと上りきったとき 陽が登る
そうして水沢にたどり着くことができた その場面
水沢、彼は何を手にしたんだろう
いや解き放たれたのかもしれないな



山に登る者は 登った者にしかわからない視界があるように また世界があるのかも


灰汁の強い個性豊かな人物の影に隠れてしまったが 
真知子 彼女だけが唯一 普通の人だった
手の中にある ささやかな幸せを守りたいという思い
それさえも 雪のようにはかなく消えてゆくけれど エンディングでその後の彼女が
妊婦となった姿を見たら 希望を見つけたのではないかと信じたい 

もう一度生まれて、やり直せるのだと


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