第三十三集 海市

冒頭、略


少羽 小僧 兄貴と一緒来ないか
天明 今戻ったばっかりなんだけど
少羽 面白いんだけどな
天明 どう面白いのか

(二人が出てゆく)

子聰 子羽 君達どこへ行くんだ
少羽 街へ
子聰 夜の街は厳戒令がひかれている 夕暮れは外出してはならないと師匠から言われているよ
少羽 安心して

(市内)

市民 早く早く 行こう 早く
少羽 おじいさん 何があるの?皆急いで
老人 前方の海に 大きな山が浮かんでいて 聞くところ仙山で 仙人が居るそうだ
天明 はははっ 海の上に仙山?これは見なくちゃ
市民 早く 行こう 仙山だとさ

(二人も海辺へたどり着いた)

市民 見ろ見ろ あそこだ 見えたか 仙山だ そして仙人だ 綺麗だな 大きな山だ 

(遠いところに島のようなものがあった)

A 伝説は本当だ 東方の海の中に 本当に仙山だ
B 聞いたんだが 皇帝の近くに居られる国師はすでに 
  海から東方の仙山、蓬莱、方丈 そして瀛州へ行かれたそうだ
A なんと!
B そこに仙人が住んでいて 男女であろうと話しにならないくらい綺麗だと
  その上 千年以上も生きていて 珍しい花や草が生えそろっている 
  そしてそこに樹があって 三百年ごとに花が咲いて 実を結ぶんだとか
  普通の人がこの果実で作った仙酒を飲んだら 不老不死になるんだ
  凡人は遠くに見ることができるだけ 永遠に近づく方法はない 
  話によると 仙人と縁のある人は仙山に登って 仙人に会える
A ただし 行った人は居ないようだが
B 行った人は仙人さ 仙山にずっと居れば 永遠に俗世間には戻ってこないのさ
A なるほど そうかも
市民 仙人だ
市民 えっどこに仙人がいるんだ あんた見たか 見たか 仙人
天明 仙山に行ってみたい
少羽 海の上の仙山に関して 色々伝説がある 但し伝説にも差がある
天明 そうなの
少羽 そのひとつは 海上に巨大な一匹の怪獣がいる ハマグリと呼ばれている
天明 怪獣?
少羽 それは水龍の一種で いつも海上の嵐を操っている
    大抵は雲霧、雨風を吸い取って 体内に吐き出しているから天気は晴れている 
    そして時に幻で山峰、あるいは華やかな街を空中に浮かばせて 各地方の船や旅行者を引き付ける
天明 引き付けた後はどうなるの?
少羽 ハマグリは雲や霧で幻を作った後身を隠し 獲物を待つんだ
天明 うん?獲物?
少羽 だからハマグリと遭遇した船は戻ることが出来ない 船の人は永遠に消えうせてしまうんだ
天明 この綺麗な仙山は 怪獣が幻で作ったもの?
A この子供 なにでたらめを言っているんだ 仙山が怪獣の作ったものだと もし仙人が知ったら怒るぞ

(天明は慌てて口を押さえた)

C 話のように海の怪獣に 本当に遭遇した人が居る
  前の海難で逃げてきた李さんだ 船は破壊されて おかしくなっちまった 
  海に怪獣が居て 船よりもとても大きな口を開けていると言っていたよ
市民 えっ
天明 うわっ
B 本当に怪獣が居るのか?
C ただな 最近の桑海は 深夜になると 空を飛んでいるものがある 悪い仙人だと言われている
B もう言うな そんなバカな話 信じるのか?
少羽 うん

(石蘭が人の中に居た 静かに涙ぐんだ)

天明 何を見ているの?

(石蘭は二人が見ていると 涙を拭った)

天明 うん?彼は泣いていたようだけど
市民 見ろ 仙山が消えてゆく
市民 消えた 消えたぞ

(人々が去ってゆく)

天明 ぼくは仙人が居る伝説の方がいいな
少羽 ほぅ お前仙女を見たいのか?
天明 違うよ
少羽 彼らは仙女は綺麗だって言ったが 見たいと思わないのか?
天明 綺麗、月ちゃんに比べてたら綺麗なもんか ぼくは 月ちゃんに比べ十人の仙女が来たってそう思う
    今 海の上の仙山に居たかもしれない 消えてしまったけど
少羽 俺達は必ず月ちゃんを探し出そう
天明 本当に?
少羽 兄貴とお前が一緒なら 必ず探せる
天明 でもとっても怖いよ もう一度彼女を見る事ができなかったら 

(少羽はむせび泣く天明を静かに見守る)

少羽 だめだ
天明 どうした
少羽 行こう
天明 ん

(血のような空 二人は静まり返った路上を行く)

天明 どういう事だ どうして瞬く間に人が居なくなってしまったんだ? 
少羽 時間を忘れていた 海に近づいて いつもに比べ日が落ちるのが早い

(空を飛んでくるものがある)

少羽 うん?
天明 どうしたの
少羽 聞くんだ

(二人は周りを見渡す)

少羽 早く

(二人は 軒下に隠れた)

天明 これはなんなんだ
少羽 しっ

(飛んできた)

天明 なんのために こんな大きな鳥が
少羽 鳥じゃない よく見て
天明 これは墨家の機関鳥じゃない
少羽 公輸家族の物のはずだ
天明 公輸仇、あの悪いじじぃの物?
少羽 ひとつだけじゃないぞ

(満天に機関鳥が飛んでいる)

少羽 彼らは巡回して 街全部を監視している 行こう 上に注意するんだ

(二人が掲示板の前にたどり着いた)

天明 あそこを見て
少羽 えっ
天明 あれは 蓋叔父さんの顔のようだ
少羽 うん そして高ちゃん 大鐵鎚 雪女・・・待って ぼくのもあるようだ
天明 何?あんたは指名手配犯なのか?
少羽 そしてお前
天明 そう・・・・
少羽 バカ こんなことでびくびくするな 指名手配されたってなんでもないさ 俺は十三歳から手配ずみ 
    もう慣れたさ
天明 ぼくは今十二歳 あんたより一年早いよ はは
少羽 立派な考えだ
天明 ぼくは初めての指名手配だよ
少羽 行こう
天明 手配された人で重要な人は 賞金も高いって聞いたことがある そうだよね?
少羽 そうだ
天明 ぼく達の賞金ってどれくらいなのかな?
少羽 通常は 第一級の重罪人は 賞金は一万両
天明 ぼくももしかして一万両?ふふっ
少羽 第一級というのは重犯人のことさ お前は違うよ
天明 前はいくらの賞金だったの
少羽 俺の相場は 去年は三万両さ 最近は少し高くなったようだけど
天明 何 でたらめだ 何でそんなに価値があるんだ 間違いなくホラ吹きだ
少羽 信じるかは任せるよ 暗くなってきた 行くぞ
天明 ぼくは自分の賞金って知りたいな
少羽 行くな 危険だ
天明 ぼくの賞金が君より高かったら怖いんだろ だから止めたんだ
少羽 お前なぁ 俺の見積もりじゃ 精々一千か二千くらいのものさ
天明 ふん でたらめを ぼくは高いんだぞ
少羽 おいっ

(少羽は止めそびれたので 天明は駆け寄る)


掲示・蓋聶の懸賞金十万両

天明 わっ叔父さん 凄いや なんと十万両!

掲示・高漸離の懸賞金一万両 班大師の懸賞金一万両 大鐵鎚の懸賞金七千両

天明 一万両 一万両 七千両 ん ぼくが思ったのとそう変わらない 価値と額だよ

(少羽の懸賞金を見た後顔を引き付ける)

掲示・項少羽の懸賞金五万両

天明 え!
少羽 また上がった 二万 なるほど 嬴政はますます俺が好きなようだ

(自分のものを見て びっくりする)

掲示・荊天明の懸賞金千両

少羽 がっかりするな 見間違いじゃない 千両だ

(天明は気落ちする)

少羽 実のところ お前の指名手配の賞金が 千両とはまだいいよ
天明 彼らは間違えている
少羽 行くぞ もう見ただろう 行こう

(天明は 一本の枝を拾った)

少羽 何するんだ?

(前に近づいて落書きをする)

天明 ははは 一千万両 これでぼくの身分と釣り合う ふふ
少羽 では一千万両の大大賞金首の天明さま 俺達もう行きませんか?
天明 うん 行こう

(二人が振り向くと 一群の傀儡の宦官が取り囲んでいた)

大司命 こんな夜遅く お二人はどうして帰らないの ならば 私が連れて行ってあげる

(大司命が 二人に近づくよう傀儡に術をかける)

天明 どうする 考えてよ

(一筋の閃光の後 煙が立ち上り 二人が消えた)

大司命 追え

(傀儡が追ってくる)

大司命 蜀山?身度ほどを知らぬ奴め ふん

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